【2022年最新】半導体が足りなくなった3つの理由!危機的状況は序章?

【2022年最新】半導体が足りなくなった3つの理由!危機的状況は序章?

2021年から半導体が不足しているとニュースで度々取り上げられています。車を注文してから納車までが半年以上かかったり、給湯器の取り替えができないなど、私たちの生活にも影響を及ぼしています。今回は半導体 不足 なぜ?の疑問にお応えすべく、3つの側面から考察していきます。

半導体不足の3つの理由

半導体 不足した理由は、

  • 需要の急拡大
  • 供給体制のひっ迫
  • ロシアによるウクライナ侵攻

この3つと言われています。順番に解説していきます。

需要の急拡大

コロナ禍の影響を受けて、工場の操業停止や物流の停滞が発生。これにより、入手困難な部材が出るなど半導体市場においてもサプライチェーンに混乱が生じました。それに加えて、テレワークの急速な普及と巣ごもり需要の拡大で、パソコンなどに搭載される半導体が2020年の春頃から不足し始めました。5Gスマホへのシフトや先に挙げた生活様式の変更が半導体不足に、さらに拍車をかけた形になりました。

また2020年9月以降は、自動車市場が急速に回復したことで自動車の動作制御も担っている半導体も不足、自動車メーカー各社は2021年に入って操業停止や減産を余儀なくされました。

供給体制のひっ迫

製品不足が深刻化している半導体の多くは、最先端の半導体が生産されている工場ではなく、一世代前の半導体工場で生産されていることも大きな要因です。一世代前の半導体製造工場は老朽化が進んでおり、半導体メーカーはコストのかかる自社生産から、ファウンドリーといわれる受託製造業社へ製造委託をするケースが増えていました。

こうした状況下で、一世代前の半導体の需要が急拡大し、ファウンドリーへの注文が殺到します。しかし、ファウンドリーの多くは、半導体の生産能力を拡張させておらず、急増した注文に供給が追い付かない状況に陥ってしまいました。さらに、2020年4〜6月頃はひっ迫していたパソコン用などの半導体の製造を優先的に行なっていた工場が多く、自動車需要が回復してからは供給のバランスを大きく崩すこととなりました。

そこに追い打ちをかけたのが、2020年12月のアメリカ政府による中国のファウンドリー大手企業への事実上の禁輸制裁です。その影響で台湾や韓国のファウンドリーへ注文が集中し、半導体 不足が加速しました。

それだけでは終わりません。2021年以降に発生した自然災害や事故が追い打ちをかけます。

2021年2月、アメリカテキサス州の大寒波の影響で、半導体工場が閉鎖しました。また、同じく2月に台湾で過去最悪とも言われるほどの水不足が発生、半導体の生産に影響を及ぼしました。

影響があったのは海外だけではありません。日本では国内自動車メーカー最大の半導体仕入先が、2021年2月に発生した福島県沖地震の影響を受けました。安全確認と装置・製品の被害状況の確認のため工場の操業を一時停止、さらに3月には同工場で火災が発生し、半導体の生産がストップする事態に陥りました。

現在、ファウンドリーを含めた半導体メーカー各社は急ピッチで半導体の増産を進めており、休止していた工場を再稼働させるさせ始めています。ただ、半導体は通常、材料を投入してから出来上がりまでに3カ月以上かかると言われているため、半導体不足の解消までにはまだまだ時間がかかりそうです。

ロシアによるウクライナ侵攻

2022年2月24日にロシアがウクライナへ進行したことも半導体 不足に拍車をかけました。日本は半導体生産に必要なレアガスやレアメタルなど原材料の一部をロシアやウクライナからの輸入に大きく依存しているからです。

台湾の調査会社トレンドフォースによると、ウクライナは半導体の製造工程で使うガスの主要生産国で、特に半導体に回路を描く工程で必要になるネオンに関しては世界の供給量のうち約70%を占めているとのことです。

ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアとウクライナ両国にまたがるネオンのサプライチェーンは事実上寸断されています。世界各国によるロシアからの禁輸などの経済制裁が長引けば、供給が途絶えるなど産業界への影響もより深刻になることが予想されています。

一部の半導体メーカーでは仕入れ先をロシア、ウクライナ以外の国にしていたところもあるようですが、多くのメーカーはレアメタルはロシアに、レアガスはウクライナに依存していたところが大きかったようで、急ピッチで別の仕入れ先を探す対応をせざるを得なくなっています。

ちなみに、ロシアによるウクライナ侵攻は半導体だけでなく、企業の人財にも影響を与えています。現地に研究開発(R&D)拠点を構えて従業員を雇っている企業も少なくないからです。半導体メーカーのルネサスもその1社で、「ウクライナに200人を超える社員、協業先がいる。一日でも一刻でも早くウクライナに平和が戻ることを願ってやまない」とルネサスの柴田英利社長兼CEO(最高経営責任者)が発言、事態の沈静化を訴えました。

まとめ

すべての電子機器に使用されている半導体が不足し、私たちの生活にも影響を及ぼしています。生産体制の拡充などで改善の見通しがおぼろげながら見えてきていることは非常に喜ばしいことです。しかし、どれだけ企業が生産体制を整えても、物資が入ってこないことには生産もできません。ロシアとウクライナの停戦調停が早期に結ばれ、すべてのサプライチェーンが正常化することを祈るのみです。