近年、NHKの受信料徴収が問題になっています。
ワンセグ(フルセグ)対応のスマホや、カーナビはどうなる?といった話題が尽きません。
NHK受信料の強引な徴収姿勢に不満が高まっている
不正や不祥事に対する反発感情に加えて、そもそもNHKは見ていないのに強制的に受信料を払わなくてはいけない、という点に不満を感じる方が多いようです。民法はスポンサーの広告費で運営しているので、どれだけ視聴しようが受信料が請求されることがないということにも損得感情を抱えているかもしれません。
ただ、払いたくないと拒否していることによって訴訟問題にまで発展するケースもあります。
受信料拒否に対してNHKが訴訟を起こす事例
これまでの例で言えば、
- 「テレビは家にあるけど契約はしない、または受信料は払わないという明確な意思を示した」
- 「未払いだったけど、一部でも払ってしまった」
- 「不払い期間が4年以上(受信料の時効は5年)」
- 「未払い者がNHKのテレビ番組観覧に応募した」
などという方に対して裁判を起こすことがあるようです。
もちろん、こうした問題を抱えるすべての人が対象になっているわけでもないようですが、NHKが公表しているデータによると平成18年11月~29年9月の間の支払督促申立て総件数は9403件だとしています。
NHKは国営ではありませんが、日本の公共放送局に位置付けられています。契約内容には地上契約と衛生契約の2種類があり、衛生契約は専用の設備が必要となりますが、地上契約はテレビを設置していれば義務的に受信契約を締結しなければいけません。そのため、NHKを見る見ないに関わらず受信料が請求され、これが国民の不満を買っています。
2017年に判決が下ったある男性の事例
NHKとの裁判で話題になったのは、2006年にテレビを設置した男性に対してNHKが受信契約を求めたことろ男性が拒否したというものです。最高裁にまでもつれ込み、11年後の2017年に判決が下されました。
ここでは、「受信契約の締結後はNHK受信料の支払い義務が生じる」としていますが、「契約未確定の段階で受信料を請求するのは適当ではない」ともしています。
では、いずれにしても契約を断固拒否すれば払わなくてもいいとも考えられますが、最高裁は
「テレビの設置者が契約を承諾しない場合は、その者に対して承諾を命ずる判決を求め、判決の確定をもって承諾したとみなす」
としました。
つまり、NHKが契約や支払いを拒否するテレビ設置者に対して民事訴訟を起こせば契約が締結するということになります。また、「判決確定後は放送受信規約に基づき、テレビを設置した月から受信料の支払い義務を負う」としているので、結果的にテレビを設置した月までさかのぼって支払いをすることが求められるでしょう。
ワンセグ機能付きのスマホの受信料はどうなる?
さて、NHKとの裁判で最近問題となったのがワンセグ機能がついたスマホに対するNHK受信料の徴収です。
【ワンセグとは?】
携帯端末向けの地上放送のことで、つまり携帯電話からテレビ番組を視聴できる機能のこと
ワンセグ付きスマホの裁判ではNHK側が勝訴
今回の裁判が前例と違うのは、NHKからではなく、ワンセグ機能がついた携帯電話を所持しているだけではNHK受信料の支払い義務は発生しないと訴えた男性側からの裁判だという点でしょう。
放送法64条で「受信設備を設置した者」に対して受信料を徴収するとしていますが、携帯電話やスマホの所持を設置とするのはムリがあるとして一審判決ではNHKが敗訴しています。しかし最高裁では、設置を言葉通りに解釈する必要はなく、ワンセグ機能携帯の所持でも設置に当たるとして、結果的には男性が敗訴しました。
テレビ視聴機能は国内メーカーの機種にはじめから備わっていることが多いので、この判決によって国産機種離れが進むとの声もあがりました。
では、実際にワンセグ機能がついたスマホを所持していればNHKと契約を締結しなければならず受信料の支払い義務が生じるのか、ということですが、そういうわけでもありません。
ワンセグ付きスマホ所有だからといって必ずしも受信料を払わなくていい
そもそもNHKの受信契約は世帯ごとの契約になっています。
つまり、個人や受信設備単位の加入ではないため、現在自宅にテレビを設置しており、NHKと受信契約を結んでいればスマホを所持していても追加請求されることはありません。自宅にテレビがなくてワンセグ機能のついたスマホだけを所持している方が対象になるでしょう。
そう考えると、ほとんどの方がこの結果の影響を受けることはないと言えます。
ただしテレビを持っていない一人暮らし世帯でスマホも持ってない人はほぼいないでしょう。そうなると結局NHK受信料を徴収されることになるので、この判決は残念ですね。
カーナビも受信料が発生する?
スマホ受信料の結果を受けて懸念が広がっているのがテレビ視聴機能がついたカーナビの設置です。この打撃を受けるのが事業者だと言われています。
実際に、NHKから「テレビ等受信機設置状況調査と受信契約」と題した書類が送られてきたという企業もあります。それにはテレビ視聴機能がついたカーナビの導入数という項目があるとのことで、戦々恐々としているようです。
現在はまだ調査という名目らしいですが、これまでの裁判の結果をみるに、カーナビを搭載した社用車から受信料を徴収しようというのが読み取れます。
※この記事を書いている最中の2019年5月15日に、カーナビ搭載車への受信料徴収も認められる判決がでてしまいました
NHKの強硬姿勢に不満が集まる中、国民生活センターへのNHKに関連する苦情件数は年々増加しており、2007年~2016年の10年間で約6500件も増加しているようです。このままいけばNHKに対する国民の不満は解消されそうもないでしょう。
まとめ
スマホを持っているだけでNHK受信料が発生するのか?についてまとめました。
「ワンセグ機能が付いていたら払わなければいけない」と判決が出てしまっているので、支払い義務は発生してしまいます。
都会に出てきた一人暮らしの若者にとって、NHK受信料はかなりの負担になると思いますし、なにより見てない人からも徴収するのはどうしても納得できないのはわかります。
NHKに対する反発が高まるのも仕方ないですね。